【相続手続⑪】相続放棄はいつまでに判断するの?

「借金の督促状」を手に、相続放棄の期限を気にして困っている女性

はじめに

親が亡くなったあと、財産よりも借金の方が多そうだと分かったとき、多くの方がこの疑問を持ちます。
相続放棄には期限があると聞いたことはあっても、「具体的に何日以内なのか」「その間に何を調べればいいのか」まで正確に知っている方は意外と少ないものです。
この記事では、相続放棄を判断すべき期限と、その間にやるべきこと、そしてやってはいけない行動について分かりやすく説明します。

結論

相続放棄は、亡くなったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所で手続きをする必要があります。
この3か月の間に、財産と借金がどれくらいあるのかを調べ、相続するかどうかを判断することになります。

なぜ3か月なの?

亡くなった日から財産と借金を調査し、3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄を申し立てる流れを示した図解

相続には「財産だけでなく借金も引き継ぐ」という性質があります。
そのため、何も手続きをしなければ、自動的にすべてを相続したことになってしまいます。
かといって、いつまでも判断を先延ばしにできてしまうと、相続に関わる人たちの立場が長く不安定になり、周囲にも迷惑がかかります。
そこで、法律では「一定期間内に判断してください」というルールを設け、そのバランスをとる期間として3か月が定められています。

詳しく解説

3か月はいつから数える?

多くの方が誤解しやすいのですが、この3か月は「亡くなった日」からではなく、「自分が相続人であることを知った日」から数えます。
例えば、疎遠だった親族が亡くなり、その事実を後から知らされた場合は、知らされた日が起点になります。
ですので、必ずしも葬儀の日から数えるわけではありません。

プラスの財産の調べ方

まずは、亡くなった方の身の回りから手がかりを集めます。

  • 預金通帳やキャッシュカードから、取引のある銀行を確認する
  • 権利証や固定資産税の通知書から、不動産の有無を確認する
  • 証券会社からの郵便物や取引報告書から、株式や投資信託の有無を確認する

借金の調べ方が一番大事

相続放棄を考えるとき、実は一番重要なのが「借金がどれくらいあるか」を調べることです。借金は預金と違い、家の中を見ただけでは分かりにくいという特徴があります。
そのため、次のような方法で手がかりを集めていきます。

① 自宅に届く郵便物を確認する

督促状、返済案内、クレジットカードの利用明細など、借金に関係する郵便物が届いていないか確認します。
亡くなった後もしばらくは郵便物が届き続けるため、数週間は郵便受けをこまめにチェックすることが大切です。

② 通帳の記録をたどる

生前の通帳があれば、毎月同じ会社への引き落としがないか確認します。
「〇〇ローン」「〇〇カード」といった名目で定期的にお金が出ていれば、借金がある可能性が高いといえます。

③ 信用情報機関に開示請求をする

一番確実な方法が、信用情報を管理している機関に問い合わせることです。
日本には主に3つの機関があり、相続人であれば、亡くなった方の借入状況の開示を請求できます。

④ 消費者金融や銀行のカードローンの有無を確認する

自宅に契約書やカードが残っていないか、財布や引き出しの中も確認しておくと安心です。

亡くなった人の借金を調べる方法として、信用情報機関、郵便物、通帳の引き落とし履歴、契約書やカードを確認する表

信用情報機関への開示請求は、相続人であることを証明する戸籍などの書類が必要になりますが、郵送でも申し込みができ、それほど難しい手続きではありません。
「何から手をつければいいか分からない」という場合は、まずこの開示請求から始めるとスムーズです。

よくある勘違い

「借金があると分かってから3か月」ではない

これは特に注意が必要な点です。3か月は「相続人になったことを知った日」から数えるのであって、「借金の存在に気づいた日」からではありません。
調査が遅れて借金の発覚が期限ギリギリになってしまうケースは少なくありません。

何もしなければ「相続しない」ことになるわけではない

「特に何も手続きしなければ放棄したことになる」と誤解している方もいますが、逆です。
何もしなければ、財産も借金もすべて引き継ぐ「単純承認」という状態になります。

財産に手をつけると放棄できなくなることがある

亡くなった方の預金を引き出して使ってしまったり、遺品となる家財を処分してしまったりすると、「相続する意思がある」とみなされ、後から放棄したくてもできなくなる場合があります。
財産調査が終わるまでは、故人の財産にはできるだけ手をつけないことが大切です。

相続放棄を検討中に行う財産調査や故人の預金の引き出し、遺品の処分などの行動と、その影響を示した表

実務上のポイント

財産調査は、想像より時間がかかることがよくあります。
特に借金の調査は、信用情報機関への開示請求から結果が届くまでに数週間かかることもあり、早めに動き出すことが重要です。
「3か月では調べきれない」という場合は、家庭裁判所に申し立てることで期間を延ばしてもらえる制度もあります。
迷っている段階でも早めに動き出すことが、後悔しないための一番のポイントです。

まとめ

  • 相続放棄は、相続人になったことを知った日から3か月以内に判断する
  • その間に、財産と借金の両方を調べる「財産調査」が必要
  • 借金の調査は、郵便物・通帳の履歴・信用情報機関への開示請求が有効
  • 調査が終わるまでは、故人の財産にはできるだけ手をつけない
  • 期間内に判断できない場合は、延長を申し立てる方法もある

まずは、通帳や郵便物など身近なところから、財産と借金の手がかりを確認することから始めてみてください。

財産や借金の調査を終え、相続手続きの資料を整理して安心した表情を浮かべる女性

相続手続きは、何から始めればよいか迷いやすいものです。
戸籍集めや財産確認、今後の進め方で不安があるときは、ひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。
状況をお聞きしながら、必要な手続きや進め方を一緒に整理いたします。

🎥 この内容はショート動画でも解説しています