【終活と認知症対策②】母が同じ話を何度も繰り返す――年齢による物忘れと認知症の違いは?

「同じ話が増えたけど、年のせい?」
「お母さん、その話さっきもしてたよ」
「え、そうだった?」
実家に帰ったときや電話をしたとき、親から同じ話を何度も聞くようになった。
最初は
「年を取ったからかな」
と思っていても、回数が増えてくると、
「これって普通の物忘れ? それとも認知症?」
と心配になるものです。
今回は、年齢による物忘れと認知症による物忘れの一般的な違いを整理したうえで、家族が今のうちに考えておきたいことを見ていきます。
結論――「忘れ方」には違いがみられることがあります
政府広報などでは、年齢による物忘れと認知症による物忘れについて、次のような違いが紹介されています。
年齢による物忘れでは「体験の一部」を忘れ、認知症による物忘れでは「体験そのもの」を忘れることがあるという違いです。
たとえば、
「昨日の夕食、何を食べたかな?」
とメニューを思い出せなくても、「夕食を食べたこと」は覚えている。
これは年齢による物忘れでもみられます。
一方で、「夕食を食べたこと自体」を覚えていない場合は、認知症による物忘れの特徴の一つとされています。
ただし、これはあくまで一般的な目安です。
こうした違いだけで、家族が認知症かどうかを判断することはできません。

同じ話を繰り返すのは、認知症のサイン?
「同じ話を何度もする」というだけで、認知症と決まるわけではありません。
ただ、政府広報では、認知症が疑われる言動の一例として「同じことを何度も言う・問う・する」ことも挙げられています。
大切なのは、一つの行動だけを見るのではなく、以前と比べて変化しているか、ほかにも生活上の変化が出ていないかを見ることです。
たとえば
・ 約束したこと自体を忘れる
・ 物を置いた場所が分からなくなることが増えた
・ お金の計算で間違いが増えた
・ 銀行や役所から届いた書類の内容が分からなくなってきた
といった変化が重なってきた場合には、少し注意して様子を見てみましょう。
心配な状態が続く場合は、家族だけで判断せず、かかりつけ医や地域包括支援センターなどに相談する方法があります。

よくある勘違い――いきなり「財産を全部教えて」は逆効果
親の物忘れが気になり始めると、
「通帳を全部見せて」
「財産がいくらあるか教えて」
と急いで確認したくなるかもしれません。
しかし、親のお金はあくまで親のお金です。
物忘れが少し増えたからといって、子どもがすぐに管理を始めるものではありません。
むしろ突然お金の話をすると、親が「財産を取られるのでは」と警戒してしまうこともあります。
まずは、
「最近、銀行に行くの大変じゃない?」
「大事な書類って、どこにまとめてる?」
といった日常の会話から始める方が自然でしょう。
相続の視点では「元気な今」が大切です
ここからは、相続や財産管理という視点で考えてみましょう。
物忘れが気になり始めた段階で、いきなり難しい制度を調べる必要はありません。
ただし、本人が自分で考えて意思を伝えられるうちに、
「どこの銀行を使っているのか」
「通帳や保険証券などはどこにあるのか」
「不動産や株など、どんな財産があるのか」
といったことを、少しずつ家族で確認しておくことは大切です。
将来の財産管理や相続の準備には、本人が自分で判断できるうちだからこそ選べる方法があります。
「認知症になったらどうしよう」と不安になるだけではなく、
「元気な今なら何ができるだろう」
と考えてみる。
それが、これからの準備の第一歩です。
次の記事では、もう少し具体的に、「父がお金の計算を間違えるようになったら、家族は何を確認すればよいのか」を見ていきます。
まとめ
年齢による物忘れでは「体験の一部」を忘れ、認知症による物忘れでは「体験そのもの」を忘れることがあるとされています。
ただし、これはあくまで一般的な目安です。家族だけで認知症かどうかを判断する必要はありません。
大切なのは、以前と比べて生活に変化が出ていないかを見ることです。
そして相続や財産管理という視点では、もう一つ大切なことがあります。
本人が元気で、自分の意思を伝えられる今だからできる準備がある。
まずは普段の会話の中から、親の暮らしや大切な財産について少しずつ話してみることから始めましょう。

終活や認知症への備えは、「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちは、なかなか考えるきっかけがないものです。
しかし、財産の整理や管理、遺言、相続の準備など、本人が自分で判断できるうちだからこそ、できることがあります。
「何から始めればよいのか分からない」
「親の財産や相続について、今のうちに整理しておきたい」
というときは、お気軽にご相談ください。
行政書士・相続診断士として、お話を伺いながら状況を整理し、これから必要となる準備や手続きを一緒に考えていきます。



