【相続手続⑭】遺産分割協議とは?相続人全員で何を話し合うの?

はじめに
親が亡くなったあと、銀行や不動産の相続手続きを進めようとすると、「遺産分割協議」という言葉を聞くことがあります。
「協議って、何を話し合うの?」
「相続人同士でもめそうで、気が重い……」
「法律で決められた割合に分ければいいのでは?」
このように感じる方も少なくありません。
遺産分割協議は、必ずしも堅苦しい会議を開くことではありません。
しかし、誰が相続人なのか、どのような財産があるのかを確認しないまま話を進めると、あとから協議をやり直すことがあります。
この記事では、遺産分割協議で何を決めるのか、なぜ相続人全員の合意が必要なのか、話し合いを進める前に何を確認すべきなのかを分かりやすく説明します。
結論
遺産分割協議とは、亡くなった方の財産について、相続人全員で「誰が」「どの財産を」「どれだけ受け取るか」を話し合って決めることです。
原則として、相続人全員が参加し、全員が同意する必要があります。
一人でも参加していなかったり、反対していたりする状態では、その内容で遺産分割協議を成立させることはできません。
なぜ遺産分割協議が必要なの?

遺言書がなく、相続人が複数いる場合、亡くなった方の財産は、遺産分割が終わるまで相続人全員で共有している状態になります。
たとえば、父親が亡くなり、母親と子ども2人が相続人になったとします。
実家を長男が引き継ぐことにしたくても、長男が一人で「自分の名義にしよう」と決めることはできません。
そこで家族全員で、
「実家は、これからも住み続ける長男が引き継ぐ」
「預金は、母親と子どもたちで分ける」
「母親の今後の生活も考えた分け方にする」
といった話し合いを行います。
このように、具体的な財産の分け方を相続人全員で決めるのが遺産分割協議です。
法定相続分どおりに分けなくてもいい
法律には「法定相続分」という相続割合の目安が定められています。
しかし、遺産分割協議では、必ず法定相続分どおりに財産を分けなければならないわけではありません。
相続人全員が納得していれば、
- 実家は長男が引き継ぐ
- 預金は長女が多めに受け取る
- 配偶者の今後の生活を考え、配偶者が多く受け取る
といった分け方もできます。
ただし、不動産だけを受け取る人と預金を受け取る人がいる場合などは、財産の評価をめぐって意見が分かれることがあります。
最初から取り分を主張し合うのではなく、まず財産の全体像を家族で共有することが大切です。
話し合いは、全員で集まらないといけない?
遺産分割協議は、相続人全員が同じ場所に集まって行う必要はありません。
電話や手紙、メール、LINEなどで意見を確認しながら進めることもできます。
遠方に住んでいる相続人がいる場合は、協議書を郵送し、それぞれが内容を確認して署名・押印する方法もあります。
大切なのは、全員が協議の内容を理解し、同じ内容に合意していることです。
よくある勘違い
勘違い①「多数決で決められる」
遺産分割協議は多数決ではありません。
相続人が5人いる場合、3人や4人の賛成だけでは成立せず、原則として5人全員の合意が必要です。
どうしても話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停などを利用して解決を目指すことになります。
勘違い②「口頭で決めれば手続きもできる」
家族間で合意しただけでは、その内容を銀行や法務局が確認できません。
銀行口座の解約や不動産の相続登記などを行うためには、通常、合意した内容を「遺産分割協議書」にまとめます。
不動産の相続登記などでは、相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添付するのが基本です。
勘違い③「認知症の相続人は家族が代わりに署名できる」
相続人の中に判断能力が十分でない方がいても、家族が本人に代わって勝手に署名・押印することはできません。
成年後見制度などの手続きが必要になる可能性があるため、早めに専門家へ相談しましょう。
勘違い④「相続放棄すると言った人は参加しなくていい」
家族に「財産はいらない」と伝えただけでは、法律上の相続放棄にはなりません。
家庭裁判所で相続放棄の申述が受理された人は、遺産分割協議に参加しません。
それまでは、原則として相続人の一人として扱われます。

話し合いの前に確認したい2つのこと
①相続人を確定する
家族が把握している人だけで話し合いを始めるのは危険です。
戸籍を調べると、家族が知らなかった相続人が判明することもあります。
その人を除いて行った協議は、あとからやり直さなければならない可能性があります。
まず、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍などを集め、相続人を確定しましょう。
②相続財産の全体像を確認する
預金、不動産、株式、保険などを確認し、財産一覧を作ってから話し合いを始めます。
あとから別の預金口座や不動産が見つかると、追加の協議が必要になることがあります。
借金や未払い金などのマイナスの財産も、併せて確認しておきましょう。
話し合いがまとまったら協議書を作成する
相続人全員の意見がまとまったら、合意内容を遺産分割協議書に記載します。
協議書には、誰がどの財産を取得するのかを、預金口座や不動産を特定できるよう具体的に記載します。
内容が曖昧だったり、財産の記載が間違っていたりすると、銀行や法務局で手続きが進まないことがあります。
財産の種類が多い場合や、分け方が複雑な場合は、作成前に専門家へ確認してもらうと安心です。
まとめ
遺産分割協議とは、相続人全員で「誰が、どの財産を受け取るか」を決める話し合いです。
大切なポイントは、次の4つです。
- 原則として相続人全員の合意が必要
- 多数決では決められない
- 合意した内容は遺産分割協議書に残す
- 話し合いの前に、相続人と財産の全体像を確認する
いきなり「誰がどれだけ受け取るか」を話し始める必要はありません。
まずは、相続人が誰なのか、どのような財産があるのかを確認することから始めてみましょう。

相続手続きは、何から始めればよいか迷いやすいものです。
戸籍集めや財産確認、今後の進め方で不安があるときは、ひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。
状況をお聞きしながら、必要な手続きや進め方を一緒に整理いたします。



