【相続手続⑳】親が亡くなった後の相続手続き 完了までの流れをまとめて確認

親が亡くなった後の相続手続きに必要な書類やメモを前に、何から始めればよいか分からず悩んでいる人物

はじめに:親が亡くなった後の相続手続き、結局何から何までやればいいの?

ここまで、親が亡くなった後の相続手続きについて、死亡届から相続税まで、一つひとつ順番に見てきました。
「口座凍結」「相続放棄」「遺産分割協議」「相続登記」「相続税」など、読んでいるときは理解できても、いざ全体を振り返ると、
「結局、何から始めればいいの?」
「自分は今、どこまで進んでいるの?」

と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、これまでの内容を時系列に沿って整理し、相続手続きが完了するまでの流れをチェックリスト形式でまとめます。

結論:相続手続きは「5つの段階」で進む

相続手続きは、大きく分けると次の5つの段階で進みます。

すべてが完全にこの順番どおり進むわけではありませんが、まずはこの5段階を押さえておくと、全体像が見えやすくなります。

なぜこの順番になるの?

相続手続きには、「必ずこの順番で進めなければならない」という一律の決まりがあるわけではありません。
ただし、前の確認ができていないと、次の判断に進めないことがあります。
たとえば、相続人が確定していなければ、原則として遺産分割協議を進めることはできません。また、遺産分割によって財産の取得者を決めた場合は、その内容を証明する遺産分割協議書などが、預金の払い戻しや相続登記で必要になります。
一方で、相続税がかかりそうかどうかの確認など、早い段階から並行して進めた方がよいものもあります。

段階ごとに、何をするのか

親が亡くなった後の相続手続きの流れを、直後の手続き、遺言書・財産・相続人の確認、相続の判断、遺産分割・名義変更、税金の申告という5段階で示した図

① 亡くなった直後の手続きをする

死亡届の提出、葬儀の手配、健康保険や介護保険、年金などの手続きを確認します。
亡くなった直後は、比較的期限の短い届け出もあるため、まずは役所や関係機関への手続きから整理していきます。
年金を受けていた方が亡くなった場合、年金の死亡届や未支給年金の請求が必要になることがあります。
ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方については、死亡届が原則不要となる場合もあります。
詳しくは、以下のページをご確認ください。

② 遺言書・財産・相続人を確認する

遺言書が残されていないかを確認し、預金、不動産、保険、有価証券、自動車などの財産を調べます。
借金や連帯保証などのマイナスの財産も忘れずに確認しましょう。
同時に、亡くなった方の戸籍を集め、相続人が誰になるのかを確定させます。
自宅などで封がされた自筆証書遺言を見つけた場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所で「検認」が必要かどうかを確認しましょう。

③ 相続するかどうかを判断する

財産と借金の状況を確認し、相続するのか、相続放棄をするのかなどを判断します。
相続放棄は、原則として「自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内」に、家庭裁判所で手続きをする必要があります。

財産の調査が間に合わず、3か月以内に判断できない場合には、家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられることもあります。

④ 遺産分割と名義変更を進める

遺言書による指定がない財産については、相続人全員で誰が何を受け継ぐのかを話し合います。合意した内容は、遺産分割協議書にまとめるのが一般的です。
その後、銀行や証券会社での払い戻し、不動産の相続登記、自動車などの名義変更を進めます。
不動産を相続した場合、相続登記は原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
また、遺産分割が成立した場合には、その成立日から3年以内に、遺産分割の内容に沿った登記をする必要があります。

⑤ 税金の申告が必要か確認する

財産の額によっては、相続税の申告と納付が必要です。
相続税の申告期限は、原則として、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

遺産分割が終わっていなくても、相続税の申告期限が自動的に延びるわけではありません。
申告が必要になりそうな場合は、早めに税理士へ相談しましょう。

また、亡くなった方に所得税の申告が必要だった場合には、相続人が相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に「準確定申告」が必要になることがあります。

親が亡くなった後に必要な相続手続きの主な内容と、相続放棄・準確定申告・相続税申告・相続登記の期限を段階別にまとめた表

よくある勘違い

「一つの手続きを完全に終わらせてから、次へ進まなければならない」と思われることがありますが、実際には並行して進められる手続きもあります。
一方で、焦ってすべてを同時に進めようとすると、相続人や財産が確定していないまま話し合いを始め、後からやり直しになることもあります。
大切なのは、全体の流れを確認したうえで、期限のある手続きから優先して進めることです。

実務上のポイント

すべての手続きを同じ優先度で進める必要はありません。
特に優先して確認したいのは、次の3つです。

  • 相続放棄などを検討する期限
  • 準確定申告や相続税申告の期限
  • 不動産がある場合の相続登記

また、遺産分割の話し合いがまとまらない、相続税がかかるか分からない、不動産の登記方法が分からないなど、途中で判断に迷うこともあります。
その場合は、一人で抱え込まず、行政書士、司法書士、税理士、弁護士など、困りごとの内容に合った専門家へ相談することも検討しましょう。

最後にチェックしてみましょう

相続手続きチェックリスト

□ 死亡届や保険・年金の手続きを確認した
□ 遺言書がないか確認した
□ 預金・不動産・保険・借金などを調べた
□ 戸籍を集めて相続人を確認した
□ 相続放棄などを検討する期限を確認した
□ 相続人全員で遺産分割について話し合った
□ 預金の払い戻しや名義変更を進めた
□ 不動産がある場合は相続登記を確認した
□ 準確定申告が必要か確認した
□ 相続税の申告が必要か確認した

すべてを一度に終わらせる必要はありません。
まずは、今の自分がどの段階にいるのかを確かめることから始めてみましょう。

まとめ

相続手続きは、

①亡くなった直後の手続き
②遺言書・財産・相続人の確認
③相続するかどうかの判断
④遺産分割・名義変更・払い戻し
⑤税金の申告・納付

という流れで進みます。
相続の状況は家庭によって異なりますが、全体像と期限を押さえておけば、次に何をすればよいのかが見えやすくなります。
分からないことが出てきたときは、そのままにせず、手続先や専門家へ早めに確認しましょう。

親が亡くなった後の相続手続きチェックリストを確認し、必要書類の整理を終えて安心した表情でお茶を飲む人物

相続手続きは、何から始めればよいか迷いやすいものです。
戸籍集めや財産確認、今後の進め方で不安があるときは、ひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。
状況をお聞きしながら、必要な手続きや進め方を一緒に整理いたします。

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