【終活と認知症対策①】母が「通帳を盗られた」と言い出した――もの盗られ妄想は認知症のサイン?

「あなたが通帳を盗ったんでしょう」と言われたら?

高齢の親から突然こんなことを言われたら、家族は驚くでしょう。
さらに、

と疑われれば、

と言い返したくなるかもしれません。
もちろん、単に置き場所を忘れただけということもあります。

一方で、これまでになかった言動が繰り返される場合には、認知機能の低下などが関係している可能性も考えられます。
では、家族はどう対応すればよいのでしょうか。
この記事では、認知症そのものを詳しく解説するのではなく、親のお金に関する言動に変化が出てきたとき、家族として何に気をつけ、今後の財産管理にどう備えていけばよいのかを考えます。

結論――家族だけで「認知症」と決めつけない

まず大切なのは、
「通帳を盗られたと言った=認知症」ではない
ということです。

認知症かどうかは、一つの言動だけで家族が判断できるものではありません。

その一方で、

など、以前にはなかった変化が重なっているなら、そのまま放置せず、親の様子を少し注意して見ることが大切です。
気になる状態が続く場合には、かかりつけ医などの医療機関や地域包括支援センターへの相談を考えましょう。

なぜ「通帳を盗られた」という話が大切なの?

家族にとって重要なのは、「もの盗られ妄想なのか」という名前を付けることではありません。
これまで普通にできていたことに変化が出ていないか
に気づくことです。

特に通帳や財布など、お金に関係する言動に変化が出てきた場合には、

と、普段の生活にも目を向けてみましょう。

「私じゃない!」と説得した方がいい?

「あなたが盗った」と言われれば、家族も腹が立つでしょう。

しかし、そこで、

と強く言い返しても、話がこじれてしまうことがあります。

まずは、

と対応してみるのも一つの方法です。

これは「誰かが盗った」という話を認めるという意味ではありません。
まず目の前の「通帳が見つからなくて困っている」という問題に一緒に対応する、ということです。

よくある勘違い――「年だから仕方ない」で終わらせない

高齢になれば、誰でも物忘れは増えてきます。
ですから、一度通帳の置き場所を忘れたからといって、必要以上に心配することはありません。
ただし、大切なのは以前との違いです。

一つだけではなく、こうした変化がいくつも見られるようになったら、「年だから」で済ませず、相談するタイミングかもしれません。
認知症について詳しく知りたい場合には、厚生労働省などの公的機関の情報を確認することも大切です。

実務上のポイント――お金の管理を考える「きっかけ」にする

通帳が見つかれば、その日の問題はいったん解決します。
でも、「最近こういうことが増えてきたな」と感じたなら、今後について家族で考え始めるきっかけにしてもよいでしょう。

ただし、いきなり、

と迫る必要はありません。

まずは、

など、日常会話の中で少しずつ確認してみましょう。
本人が自分で判断できるうちだからこそ、話し合えることがあります。

まとめ

親から突然「通帳を盗られた」と言われても、それだけで認知症と決めつけることはできません。
大切なのは、病名を家族で判断することではなく、「以前と何か違う」という変化に気づくことです。
まずは言い争わず、目の前の困りごとに対応する。
そして、同じ話の繰り返しや、お金の計算、通帳の管理など、ほかにも変化がないか見てみましょう。
気になる状態が続くなら、医療機関や地域包括支援センターなどにつなぐ。

同時に、家族としては、親が自分で判断できるうちに、お金や財産について何を確認しておけばよいのかを考え始める。
それが、これからの終活や相続準備の第一歩になります。

次回は、「母が同じ話を何度も繰り返す」という場面から、年齢による物忘れと認知症について、家族がどのように考えればよいのかを見ていきます。

終活や認知症への備えは、「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちは、なかなか考えるきっかけがないものです。
しかし、財産の整理や管理、遺言、相続の準備など、本人が自分で判断できるうちだからこそ、できることがあります。

というときは、お気軽にご相談ください。

行政書士・相続診断士として、お話を伺いながら状況を整理し、これから必要となる準備や手続きを一緒に考えていきます。